ある程度因果応報な部分もあると思っている。
実家は一族経営の零細企業で、生まれた時から一族経営の零細企業の後継者として育てられ
しかし望まれた成果を出せなかった父は、経済的に祖父に依存した生き方をせざるをえなかった。

父は子供目線でも公私を問わず祖父のいいなりだった。
そしてそう言った状況を作り出すことに、祖母も多少なりとも加担していた。
祖父亡き今、祖母への虐待は父なりの復讐としてあいつの中では
正当化されているんだろうと思う。
昔風に言えばDQN返し。実際、父を直接とがめた際にもそのような言い訳をしていた。

父の数少ない自発的に選んだ事は実母との結婚だったが、小学校に上がる前に母は出ていった。
後から知る事になるが、相当祖父母からの圧力があったという。
後妻である継母との結婚は、家同士で決められた、ある種の政略結婚だったとも言っていた。

父は祖父が亡くなる前後から、自分の境遇への不満を口にする様になった。
自分がいかに引かれた線路を走らされただけの人生だったのか。
子供の頃から成人して零細企業に入るまで、いかにやりたかったことが出来ず
少しでも意に沿わぬ事をすれば厳しく躾けられ、
両親の言いなりの日々を過ごしてきた自分がどれだけ不幸なのかと。

同じ祖父母に育てられながら、
放任主義で芸術系の大学行ってやりたい事をやってきた姉(叔母)や
同じ様に進路を自分で選び、大学院まで出して貰ったお前(俺)が、自分(父)と比べて
どれだけ恵まれているのかを自覚しろ、などと詰め寄られたこともある。

先に書いたけど、俺は父の祖母に対する虐待行為にはしょうがない部分もあると思っている。
虐待は良くはないものの、自分の人生を良い様にされた恨みは消えないだろうというのも
理解している。
(それなりに良い思いしてきたハズの継母が虐待に加担してるのは正直理解出来なかったけど)

その上で父親から全てを奪い取るような事を実行したのは、
父がこちらからの提案を殆ど聞くこともなく
「すべて祖父が不甲斐ないせいだ」とか
「俺が今までどんな仕打ちを受けたか知っているのか」といったような
正当化と自己憐憫に終始する様はあまりにも醜くて、
いつまでも自分の人生の言い訳に親を使っている父が
気持ち悪くて仕方が無かったから。

父が一度は両親(祖父母)に逆らってまで実母を選んだ様に
父自身が「自分の人生」とやらを選ぶタイミングはあったと思う。
けど、いくら反対されようケチつけられようとも
最後に祖父母の言いなりになる事を選んだのは父自身だろう。

いくら言い訳をしても、結局人生の責任を取るべきは自分自身であるべきと思っているし、
結局父の不幸な人生とは問題の解決から逃げ続けてきた結果でしかなかったのだろう。

もはや更生するにも後悔するにも全てが遅い気がするので
せめて『息子に裏切られた可哀想な自分』という新しい不幸エピソードと、
その対象になってあげるのが
父と実母の子として生まれて育ててくれた恩をある意味で返す事だろうと思っている。