「宿題が出せない。昨日家が火事になった。お母さんが怪我した」
と言って、泣き出してしまったことがあった。

私が宿題集める係だったけど、何も言えなくて「そっか…」としか返せず、
A君の宿題だけ集めなかった。
先生は怒って「A君、あなた嘘ついてるんでしょ。家が燃えたなんて嘘でしょ！」
と思いっきりゲンコツを食らわせた。
A君が泣きながら「本当に燃えた」と叫んでも、先生は
「嘘つき。私は君のこと信用してませんから。どれだけ泣こうが信じない！」
と絶叫していて、クラス全員固まってしまった。
その日給食を食べて、遊んでからクラスに戻るとA君がいなかった。
先生は「A君は嘘がバレて逃げました。みんなも嘘ついちゃダメだよ」と得意げに笑っていた。

でも、ランドセルも何もかも置いていったので嫌な予感がしたし、
クラスのみんなで帰り道にこっそりA君探しをしたけど見つからなかった。
その日家に帰ってから、A君の家が全焼したことは本当だと母から聞いた。
朝教室で起きたこと、A君が途中から行方不明になったことを伝えたら、
母が友達のお母さんに電話をかけ始め、事実確認をしていた。
その後母の通報で警察や、保護者達によってA君探しが行われた。
警察が家まで来て、A君がよく遊んでいた場所や、行きそうなところを知ってるか聞いてきた。
実は学校から徒歩10分くらいのところが川の下流になっていて、A君はその川でよく遊んでいた。
そこの上流までは徒歩1時間くらいで着ける。
A君は時々、その川で家族と魚取りをしたりしていたからそう伝えた。

結果、A君は上流付近にいるところを保護された。
母から、A君の家は母子家庭で、朝は母方祖父母の家から通ってたようだった。
祖父母もテンパってたのか、肝心の学校には連絡しておらず、
A君から新しい連絡先等を伝えるよう言い聞かせてた。
でもA君の言うことを先生が信じずこうなった。
A君のお母さんは2階で逃げ遅れ、窓から飛び降りて骨折して入院していて命は助かってた。
携帯もない時代だったこと、精神的ショックで身動き取れなかったことで
学校への対応が後手に回ったんだと思う。
さすがに酷すぎるということで保護者からの抗議殺到。
それでも先生は謝るどころか「あんたらが悪い！あんたらが！」といきなり罵ったり、
「みんな私の敵」と叫び出したりおかしくなって辞めていった。

後にも先にもこんな先生は小4の時だけだった。
もしかしたら先生もメンタルがおかしくなってたのかもしれないけど、
教え子が行方不明になって勝ち誇ったような顔をしていた先生が未だトラウマ。

子供も先生の事を信用してなかったんだな
36人いて誰一人として他の先生にA君が居なくなったことを黙ってたとか
その先生以外の教師に対する信頼関係が破壊されてるな